もくじ
ロスチャイルド家は金融資本家から産業資本家へと転換する鉄道事業25
ロスチャイルド・オーストリア家のサロモンが、ウィーンとボヘミア北部を結ぶ、
ヨーロッパ大陸初の鉄道(フェルディナント皇帝鉄道)をつくった後、
パリのジェームズ・ロスチャイルドも負けじと大々的に鉄道産業に乗り出しました。
まず、セーヌ川沿いに、パリ~サン・ジェルマン間と、
パリ~ヴェルサイユ間の鉄道を完成させ、ついでフランス北部の諸都市と
パリを結ぶ、北方鉄道の建設に取り掛かります。
この他、ロスチャイルド兄弟は、ベルギーの鉄道建設に融資するなど、
ヨーロッパの最新の基幹産業である鉄道にいたるところで関与します。
これらの鉄道建設には莫大な資金が必要ですが、
そのための起債はロスチャイルド家の得意とするところで、
債権購入を一般に公募すると物珍しさも手伝って多数の民衆が押し寄せました。
こうして、ジェームズは鉄道王の名を欲しいままにしますが、
この鉄道への投資は、ロスチャイルド家が単なる国家(国王)と癒着した
国際金融資本ではないことを示し、金融資本家から
産業資本家へと転換するものでありました。