ユダヤ文化と日本:ユダヤ人こそ日本人から学ばねばならない

ユダヤ人こそ日本人から学ばねばならない

日本における近ごろのユダヤブームの特徴は、比較文化論的にユダヤ人と日本人を二元論的思考で対置し、大抵の場合、ユダヤ人は頭がいい民族である、日本人も学んだらどうか、というパターンのようである。

そこでは、ユダヤ人がさも自慢げに、タルムードその他の宝典から都合のいいものを抜き出して得意然として高説をぶつ、というパターンが多いようである。

これに対して日本人は、お説ごもっともと謹しんで拝聴しているが如くである。この光景を見ていると、ユダヤ人が先生であり日本人は常に生徒ということのようである。

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また同時に、文化的、歴史的、思考的、感覚的特徴を二元論的に対置して比較するほとんどのケースは、ユダヤ的なものを主役としているようである。

私から見た場合、日本にいる若いユダヤ人が以上のようなことで得意然となっているのであれば、わがユダヤ民族の将来も決して明るいものではないという気がする。と同時に、黙って拝聴している日本人の謙虚深さにむしろ敬意を表さなければならないと思う。

私は、逆に、ユダヤ人こそ日本人から真に多くのものを学びとらねばならないのだということを、若いユダヤ人に教える義務があると信ずるものである。

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日本にいていろいろと著作その他で活躍しているユダヤ人は、戦後の日本しか知らないのである。

しかし、真の日本の世界に冠たる長所は、残念ながら戦後の日本にはもはやないのである。ということは、戦前までの日本には存在したということである。

この事実を全く知らずに若いユダヤ人達は、日本でさも得意顔で日本のウイークポイントと思われることを槍玉にあげて優越感に浸っている。

私が悲しむのは、これら若い世代のユダヤ人達が自分達ユダヤ人の理想とするものが何であるかさえ知らないということだ。

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そのような状態であるから、彼らは自分達ユダヤ人の真の理想とするものが戦前の日本にあったということなど全く知る由もない。

日本人が黙って君たち若いユダヤ人の能書きを拝聴している理由がわかったことであろう。全く問題にしていないのである。反論するにも値しないということだ。

ただ例外は、日本にしばらくいたことのあるラビのマーヴィン・トケイヤーであろう。彼は『日本人は死んだ』という本を著わし、それは日本でベストセラーになったものであるが、この中でトケイヤーはユダヤ人の真に理想とするものが戦前の日本には多々あったとし、それが戦後全く失われてしまったのを非常に悔んでいるのである。

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一人よがりの狭量をふり回して、あたかも日本人にものを教えてやってるんだと妄信して得意然としている同胞の若者の多いなかで、このトケイヤー君はさすがラビだけあって急所を突いている。こういう同胞を私は誇りに思う。


ラビ・マーヴィン・トケイヤー

1936年にハンガリー系ユダヤ人の家庭に
生まれる。1962年にユダヤ神学校でラビの資格
を取得。1967年に東京広尾の「日本ユダヤ教団」の
初代ラビに就任。1976年まで日本に滞在し、ユダヤ人と
日本人の比較文化論を発表。早稲田大学にて古代ヘブライ
文化を教えたこともある。アメリカに帰国後、ユダヤ人
学校の校長を歴任。現在ニューヨーク在住。

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日本でいろいろ能書きをたれている同胞の若い連中の恥知らずの愚行に対してユダヤ人として一言弁護させてもらえるなら、彼らは例えばタルムードの内容についてもすべてを知らない。

彼らが日本で書きまくっているユダヤ的思考法、タルムードの宝石などなどで彼らがあまりにも多くのミスを気がつかずに過ごしていることには、実は我々長老にその責任のすべてがあるといってよいかもしれない。

戦後生まれのユダヤ人は、タルムードの思想といってもその最も肝要な部分を教えられていない。それはタブーとされているからである。彼らはしたがって、真のユダヤの理想というもの──それは恐らく人類の理想でもあるだろうが──を全く教えられていないのである。

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このような同胞の若者が、日本に戦前あったすばらしいものを感知するわけがない。尊敬する日本の皆さん、私はユダヤ人の長老として、

これら若僧の犯している恥知らずな次元の低い誤りをお詫びすると同時に、我々ユダヤ人が犯したところの大きな誤り、

第二次大戦終結直後の日本人の精神的空白につけ込んで我々が持ち込んだところの諸々の誤れる思想について、

その過誤の原因および内容的非論理性、反真理性について詳しく分析し、それが如何に日本人にとって有害なものであるかということを実証してみたいと思う。

勿論、この問題からみると、同胞の若僧どもの無知からくる誤りなどはものの数ではないのだが。これによって一日も早く、尊敬する日本人が戦前あった世界に燦たる民族的長所を復活させて頂きたいのである。何故ならば、それが即ち我々ユダヤ人の理想でもあるのだから。

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